丸紅、太陽光と風力を活用してアジアの低炭素社会の実現に貢献
丸紅株式会社(以下「丸紅」)は、日本での洋上風力発電と台湾での浮体式太陽光発電プロジェクトという各分野で初となる2件のプロジェクトをスポンサーとして実施しました。これにより、丸紅は再生可能エネルギー発電事業を拡大させるとともに、アジア太平洋地域のエネルギー転換に貢献しています。
アジア各国は再生可能エネルギーを推進しています。2015年のパリ協定で合意された気候変動対策の目標達成に向けてグローバルでの取り組みが進むなか、アジア各国の政府も自らの役割を果たそうと努めています。日本は初の商業ベースでの大型洋上風力発電プロジェクトを開始した一方、台湾では、洋上風力発電と地上設置型太陽光発電事業での成功を足掛かりとして、エネルギーミックス(電源構成)に浮体式太陽光発電という新たなエネルギー源を加えようとしています。
丸紅は、日本の画期的な秋田洋上風力発電プロジェクトと、台湾の彰化(Changhua)浮体式太陽光発電プロジェクトの両方のリードスポンサーです。両プロジェクトは、同社のサステナビリティへの取り組みを示す模範的な事例といえます。丸紅は再生可能エネルギー事業のポートフォリオを拡大しており、2017年度に7,000億円だったグリーンレベニュー(気候変動対策に貢献するビジネスの取扱高)を2023年度までに1兆3,000億円に増やすことを目指しています1 。
ソシエテ・ジェネラルは、丸紅とこれらの先駆的プロジェクトで緊密に連携しました。これは、再生可能エネルギー事業の拡大により発電ポートフォリオの変革を進める丸紅への支援になるだけではなく、ソシエテ・ジェネラルにとっては、アジアでの再生可能エネルギー事業拡大を推進する丸紅の銀行パートナーの一員として、その地歩を固めることにもなります。
丸紅は、資産ベースでは国内第5位の大手総合商社で、国内・海外のエネルギー部門を含む幅広い事業活動を展開しています。世界的な独立系発電事業者(IPP)として42ギガワット(GW)超という豊富な実績を有しており、エネルギー・ソリューションと電力サービス分野に強い世界のトッププレーヤーの1社となっています。
エネルギー転換に貢献
秋田洋上風力発電株式会社の岡垣啓司代表取締役社長は、次のように述べています。「アジア太平洋地域では、エネルギーミックスにおける化石燃料の比率を低減し、気候変動を悪化させる温室効果ガス排出量を削減する取り組みが加速しています。丸紅は、これらのプロジェクトの最大の出資者としてこの取り組みに協力し、再生可能エネルギー発電ビジネスのリーダーになることを目指しています。それが経済と社会、さらには環境にも資すると考えているからです。」
丸紅の海外電力プロジェクト第一部の彰化浮体式太陽光発電プロジェクトリーダーの森野岳宏氏はこう付け加えます。「今回の二つのプロジェクトは、アジアにおける再生可能エネルギーへの大きな流れの最前線を走っています。こうした有望なプロジェクトで、アジアの再生可能エネルギー市場をリードする高い専門性を持つソシエテ・ジェネラルとパートナーを組めたことを大変嬉しく思います。」
丸紅は、自社の発電ポートフォリオを転換させる計画を明らかにしています。石炭火力発電事業によるネット発電容量を2030年までに半減させるとともに、再生可能エネルギー電源の比率を、ネット発電容量ベースで2018年の約10%から2023年までに約20%へ拡大することを目指しています2。
政策立案機関の目標を支援
アジア太平洋地域の政策立案機関は、より意欲的なクリーン発電の目標を設定しています。日本は、2030年度の温室効果ガス(GHG)の排出量を2013年の水準から26%削減し、エネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの比率を2017年の16%から、22~24%に拡大することを目指しています3。丸紅は、秋田県秋田港及び能代港洋上風力発電所の建設・保守・運転を行うプロジェクトのリードスポンサーとして、これらの目標の実現に貢献しています。
秋田のプロジェクトは総事業費1,000億円(8億4,700万ユーロ)で、日本初の商業ベースの大型洋上風力発電所です。2022年の商業運転開始を目指しており4、発電容量は140メガワット(MW)。約4万7,000世帯分の電力需要に対応できると期待されています5。
一般社団法人日本風力発電協会によると、日本の海岸線延長距離は2万9,751キロメートルにも及ぶため、それを活かして洋上風力発電を進めればエネルギー転換を図ることができ、経済への波及効果も生まれます。洋上風力発電は、2030年までに5兆~6兆円程度の直接投資と8万~9万人の雇用を創出し、日本の二酸化炭素排出量を7,100万トン削減する可能性があると推定されています6。
台湾も2017年、総発電量に占める再生可能エネルギー電源の比率を4%前後から2025年までに20%に拡大するとした法律を制定しました 7。現政権の新エネルギー政策は、20GWの太陽光発電を含め、2025年までに27GWの再生可能エネルギー発電能力の設置を目指しています8。
彰化は、台湾西部沿岸の潮間帯に立地する181MWの浮体式太陽光発電プロジェクトです。すでに建設が始まっており、2020年末までの完工を見込んでいます。これは世界最大規模の浮体式太陽光発電プロジェクトであり、台湾で初めての浮体式太陽光発電プロジェクト、そしてソシエテ・ジェネラルが融資した初の浮体式太陽光発電プロジェクトでもあります。
彰化のような浮体式太陽光発電プロジェクトは多くの利点がみられます。水が太陽光パネルへの冷却効果をもたらしエネルギー収率に優れるうえ、従来の太陽光発電プラントの建設に伴う土地の制約がありません。浮体式太陽光発電は、アジアがグローバルなリーダーとしての役割を果たせるエネルギー源といえます。
サステナブルな未来へのファイナンス
ソシエテ・ジェネラルは、再生可能エネルギー分野における将来の発展モデルとして期待される秋田洋上風力発電プロジェクトに、協調融資した唯一の外資系金融機関です。2020年1月現在、日本では洋上風力発電プロジェクトの14.8GW相当分が環境影響評価(EIA)の段階にあり9、今年後半に関係当局による競争入札が開始される見通しです。
ソシエテ・ジェネラルは、台湾の彰化浮体式太陽光発電プロジェクトの73億台湾ドル(2億2,300万ユーロ)のプロジェクト・ファイナンスの主幹事行(Mandated Lead Arranger)、テクニカルバンク、金利ヘッジ提供者を務めました。また、これまでに台湾で完了した洋上風力発電のプロジェクト・ファイナンスの4件すべてに参画しています。
ソシエテ・ジェネラルのアジア太平洋地域におけるNatural Resources and Infrastructure(NAT)部門を統括するDaniel Malloはこう述べています。「丸紅からのご信頼をいただき、当行と丸紅が緊密に連携することで、持続可能なよりよい未来を作れると考えています。今回、日本初となる洋上風力発電と世界最大の、台湾初の、当行初の浮体式太陽光発電プロジェクトに、丸紅の銀行パートナーの一員として協調融資に参加できたことを誇りに思います。両プロジェクトは今後、アジア太平洋地域におけるクリーンエネルギーの実現にますます重要な役割を果たすでしょう。ソシエテ・ジェネラルは、アドバイザリー・サービスの提供から資金提供、リスクマネジメントまで、再生可能エネルギー・プロジェクトのあらゆるニーズに対応できる専門性と、豊富な経験を有しています。この強みを活かして、今後もアジアにおけるエネルギー転換を目指すお客さまを支援していく所存です。」
- https://www.marubeni.com/jp/sustainability/report/pdf/sdr2019_jp_all.pdf
- https://www.marubeni.com/jp/news/2018/release/00036.html
- https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2019.html
- https://www.marubeni.com/jp/news/2020/release/20200203J.pdf
- https://www.japantimes.co.jp/news/2020/02/04/business/marubeni-japan-first-large-scale-offshore-wind-power-business/#.XqJO3MsUnIU
- https://gwec.net/gwec-and-jwpa-launch-joint-task-force-to-drive-offshore-wind-growth-in-japan/
- https://www.moeaboe.gov.tw/ECW_WEBPAGE/FlipBook/2018EnergyStaHandBook/index.html#p=141
- https://www.wartsila.com/docs/default-source/power-plants-documents/downloads/white-papers/asia-australia-middle-east/optimal-path-for-greater-use-of-renewable-energy-in-taiwan.pdf
- https://gwec.net/global-wind-report-2019/