インドの再生可能エネルギーに陽が昇る
インドは、再生可能エネルギーの発電容量を現在の136ギガワット(GW)から、2027年までに275GWに増やすことを目指しています。ソシエテ・ジェネラルは、このきわめて重要なエネルギー転換の目標を支援しており、先ごろも日本のSBエナジーとフランスの多国籍企業ENGIEの太陽光発電プロジェクトへのファイナンスを実施しました。
インドでは、人口の増加と経済発展を背景にエネルギー需要が急増しています。国際エネルギー機関(IEA)によると、インドの電力消費量は1990年以来、450%以上も拡大しました1。この増加は環境に深刻な負荷をかけ、インドは世界第3位の二酸化炭素排出国になりました。そのため、パリ協定に基づく削減目標の達成に向けて、インドでは再エネの開発が優先課題となっており、再エネセクターはすでに過去6年間で640億米ドル以上の投資を呼び込んでいます2。
インド市場で積極的に事業を展開している企業の1社、ソフトバンクグループの子会社であるSBエナジーは、特にインドで再エネ・ポートフォリオの開拓に取り組んでおり、約2,000メガワットピーク(MWp)の発電容量をもつ6つのプロジェクトを進めています。さらに、向こう2年間で開発する予定の発電容量約5,500MWpのプロジェクトも控えています。これらを合わせ、SBエナジーはインドで再エネによる発電容量を20GWとする計画です。
一方、ENGIEは世界最大の独立系電力会社で、インドの太陽エネルギーのパイオニアです。インドにおける同社投資先企業による再エネの発電容量は1.5GW以上にのぼります3。現在、ENGIEの世界全体の発電容量の30%、すなわち26.9GWは再エネによるものとなっており、さらに今後3年間で再エネによる9GWの容量増強に取り組む計画です。
複数の多国籍企業がインドへの投資を継続し、国の目標に沿って取り組みを進めており、ソシエテ・ジェネラルもこの目標の実現に尽力しています。SBエナジーとENGIEによる太陽光発電プロジェクトでは、ソシエテ・ジェネラルが専門性を活かして石炭火力発電からの転換を支援し、グローバルネットワークを通じてこの2件の画期的プロジェクトに米ドル(USD)とインド・ルピー(INR)両方の金融ソリューションを提供しました。ソシエテ・ジェネラルのグリーンファイナンスにおける卓越性を実証した案件となりました。
インド第一主義:SBエナジーの米ドル建てソーラープロジェクトのファイナンス
現地通貨第一主義:ENGIEのインド・ルピー建てソーラープロジェクトのファイナンス
ソシエテ・ジェネラルがインドで初めて再エネプロジェクトに資金を拠出したのは、インド・ラジャスタン州の900MWpの太陽光発電所に対する3億3,300万米ドルの融資でした。ソシエテ・ジェネラルは、マンデーテッド・リード・アレンジャー(MLA)およびブックランナー、ヘッジプロバイダーおよびレター・オブ・クレジット・プロバイダーを務めました。また、ファイナンスと併せ、SBエナジーにUSD/INRのグリーン・クロスカレンシースワップ形態による通貨ヘッジを提供しました。これは当グループにとって、再エネセクターにおけるインド初のグリーン・クロスカレンシースワップとなりました。
隣接するグジャラート州でもENGIEが発電容量200MWの太陽光発電所を建設しており、インドで太陽光発電が広がりを見せています。このプロジェクトはインドで13番目、規模では現在2番目に大きいソーラープロジェクトです4。ソシエテ・ジェネラルは、アジア開発銀行(ADB)とともに同プロジェクトに対し、現地通貨建てのグリーンローン77億ルピー(1億500万米ドル)を拠出しています。このプロジェクト・ファイナンスは、ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)が発表した環境面で持続可能な経済活動を支援するための枠組みであるグリーンローン原則に合致しているほか、ENGIE独自のグリーン・ファイナンシング・フレームワークに基づいて実施されました5。同案件は、ソシエテ・ジェネラルにとって、インドの再エネプロジェクト向けの現地通貨建てで行った初となる取引で、マンデーテッド・リード・アレンジャー、グリーンローン・コーディネーターおよびレター・オブ・クレジット・レンダーを務めました。
ソシエテ・ジェネラルのアジア太平洋地域で天然資源およびインフラ部門を統括するダニエル・マロ(Daniel Mallo)は、こう述べています。「インドにおけるこの2件の再生可能エネルギー案件は、多国籍企業のお客さまが再エネの発電容量を増強し、アジアでの事業を拡大し、インドの再エネ目標の実現に、ソシエテ・ジェネラルが貢献できることを実証しました。当グループが、インドで現地通貨建て、米ドル建て両方のグリーンな金融商品を提供することで、お客さまにとっては選択肢の幅が広がり、ニーズに応じた最適なソリューションを選ぶことができます。今後も地域のエネルギー転換に貢献するという当グループのコミットメントの実現に向けて、この成功事例をまた活用していければと考えています。」
よりグリーンで、より明るい未来のための太陽光
ENGIEのソーラープロジェクトは、年間約440GWhの電力を作り出し、ほぼ38万5,000トンの二酸化炭素排出量を削減すると予想されています。このプロジェクトはグリーンな電力を作るだけではなく、直接及び間接的に約1,200人の雇用を生み出すと期待されています。再エネ資源の開発に貢献することは、インドのカーボンフットプリントの削減に加え、エネルギー安全保障を実現するとともに、インドの経済成長を支え、国民全体の生活水準を引き上げるための手ごろな電力を供給するうえでもきわめて重要です。
インドは、再エネの世界的リーダーとして台頭しています。インドはパリ協定に基づくコミットメントの一環として、再エネの発電容量(太陽光の100GW、風力の60GWを含む)を2020年11月現在の136GW6から、2022年までに175GWに、2027年までに275GWに増やす意欲的な目標を掲げています。2027年の目標では再エネの占める割合が高まり、設備容量の推定44%、発電量の24%を占めるとみられています7。
コロナ禍にあっても、インド政府はインドの再エネ・プロジェクトを必要不可欠な政策に掲げています。ナレンドラ・モディ首相は、再エネの発電容量を450GWにするという新たな目標を発表しました8。これによりインド全体のソーラープロジェクトは急拡大し、再エネセクターで事業展開を図る世界的プレーヤーの商機は高まっています。ソシエテ・ジェネラルは、再エネを手掛けるお客さまに様々なサービスを提供し、インドにおける事業開発を支援しながら、今後もクリーンエネルギーをもたらす太陽の恵みを積極的に活用するインドの支援を続けていく計画です。
1- https://www.iea.org/countries/india
2- https://energy.economictimes.indiatimes.com/news/renewable/indias-renewable-power-capacity-is-the-fourth-largest-in-the-world-says-pm-modi/79430910
3- https://www.engie.com/en/journalists/press-releases/renewable-energy-capacity-india#:~:text=Following%20a%20series%20of%20successes,with%20Federal%20Government%20entity%2C%20SECI
4- https://www.engie.com/en/journalists/press-releases/renewable-energy-capacity-india#:~:text=Following%20a%20series%20of%20successes,with%20Federal%20Government%20entity%2C%20SECI
5- https://www.lma.eu.com/application/files/9115/4452/5458/741_LM_Green_Loan_Principles_Booklet_V8.pdf
6- https://energy.economictimes.indiatimes.com/news/renewable/indias-renewable-power-capacity-is-the-fourth-largest-in-the-world-says-pm-modi/79430910
7- https://niti.gov.in/sites/default/files/2020-01/IEA-India%202020-In-depth-EnergyPolicy_0.pdf
8- https://niti.gov.in/sites/default/files/2020-01/IEA-India%202020-In-depth-EnergyPolicy_0.pdf